猫の多頭飼いの前に知っておくべきこと、必要条件や相性の見極め方
猫を飼っていると、「もう一匹飼ってみたいな」「猫同士で遊べたら楽しいだろうな」などと思うことがあるかもしれません。
複数の猫でじゃれ合ったり、追いかけ合う姿を想像するかもしれませんが、それは猫同士の相性が良い場合の話。
そもそも猫は、縄張り意識が強く単独行動を好む動物です。自分の縄張りに誰かが入ってきたら、当然警戒し、追い出そうとします。攻撃的になり、ストレスを感じて体調を崩すこともあります。
新たな猫を迎えるためには、飼い主側にもこれまで以上にお金や時間が必要となります。
ここでは、猫の多頭飼いに必要な条件とは何なのか、多頭飼いする場合の相性の見極め方、多頭飼いを始める前に準備しておくべきことを解説します。
猫の多頭飼いをしたい、必要となる条件とは?
家の広さが十分にあること
トイレの数や食器などが増える分、スペースも2倍以上必要となります。
何かあった時に隔離できる部屋を準備するため、猫が快適に暮らせる部屋数の目安は「自由に出入りできる部屋数−1頭」。猫が出入りできる部屋が3部屋あるならば2匹、4部屋あるならば3匹となります。
飼育費用、飼育の手間がかかっても大丈夫であること
猫の数が増えるほど、エサ代や砂代、予防接種をはじめとする医療費など、飼育にかかる費用が増えていきます。同時に、猫のお世話に必要な時間も増えます。
猫に費やす費用と時間が無理なく捻出できるのか、今一度よく考えてみましょう。
飼い主に何かあったときに他にお世話できる人がいること
飼い主さんに万が一何かあって長期間家を空けることとなった場合のことも考えておかなければなりません。
不在となる期間中、誰かに猫たちのお世話をお願いしなくてはいけませんが、ペットホテルやキャットシッターさんに確実に願いできるのか、またお願いした際にはとなると当然費用がかかります。
もしもの場合に備えて、身近に複数の猫のお世話をお願いできる人を確保できるかも重要です。
猫同士の相性がいい、先住猫がおおらかで社交的な性格であること
一緒に暮らす猫同士の相性がいいこと、とくに、先住猫の性格がおおらかで社交的であることは最重要ポイントです。
猫は縄張り意識が強く繊細なため、お互いの相性が悪い場合には大きなストレスがかかります。
慢性的なストレスは病気につながるリスクもあるため、先住猫が神経質な性格の場合、多頭飼いは難しいかもしれません。猫同士の相性をしっかりと見極めてから考えるようにしましょう。
多頭飼いをするする際の相性の見極め方
【前提編】「成功の秘訣は、先住猫」
新たな猫を迎え入れる場合、最もストレスを受けるのは先住猫です。今まで快適に暮らしてきた先住猫にとって、後からやってくる猫は自分の縄張りに入ってきた不審な侵入者でしかありません。攻撃的になり、追い出そうとするのは当然のことです。
ついつい新米猫をかまってしまいがちですが、優先すべきはあくまでも先住猫。これまで通りの愛情を変わらず注いであげることが大切です。
相性の見極め①【血縁関係編】
一般的に、母子、兄弟姉妹など、血縁関係がある猫同士は相性が良いといわれています。先住猫と血縁関係がある猫であればうまくいく可能性が高いかもしれません。
相性の見極め②【性別編】
性別による相性は、以下の通りです。
オス×オス:相性が悪い
オスは縄張り意識が強く、ケンカしやすいので相性は悪いです。
メス×メス:普通
オス×メス:相性が良い
成猫になったオス×メスは、基本的に相性が良い組み合わせです。繁殖予定がない場合は必ず避妊・虚勢をしましょう。
相性の見極め方③【年齢編】
年齢も、猫同士の相性に影響します。
子猫×子猫:相性がとても良い
子猫は柔軟性があるため兄弟猫でなくても仲良くできることがほとんどなので、非常に良い相性です。
成猫×子猫:相性が良い
先住猫が成猫でも、縄張り意識が比較的低いメス猫なら相性は良好です。
シニア猫×子猫:相性が悪い
シニア猫が生活ペースを崩されることが多く、ストレスの原因となる可能性があります。
相性の見極め方⑤【性格編】
相性というより、性格的にそもそも多頭飼いに向かない、という猫もいます。もともと、縄張り意識が強く繊細な猫ですが、とくに神経質な性格や1頭でいることが好きな猫、独占欲の強い性格の猫は多頭飼いには向いていません。
逆に、他の猫をこわがらない猫やおおらかな性格の猫などは、多頭飼いに向いています。
来客時の愛猫の様子を見て、性格を見極めてみましょう・
お客さんを警戒せず、自分から歩み寄るような猫は多頭飼育に向いている可能性があります。
逆に、お客さんを警戒し隠れて姿を見せない猫であれば、多頭飼育に向かない可能性が高いといえます。
猫の多頭飼いを始める前に準備するもの
猫の多頭飼いに必要な条件をクリアーし、猫同士の相性や性格を見極めた上で多頭飼いにチャレンジしようとする場合は、2頭目以降のお迎えを進めましょう。
事前に準備しておくべき環境、用意すべきものをまとめました。
・新たに迎える猫の隔離部屋
・トイレを増やす
・対面時にお迎えする猫を入れるケージ
・新たに迎える猫用の食器、水入れ
・頭数分のキャリーバッグ
・キャットタワーを増やす
・それぞれの猫が避難できる隠れ場所
何よりも、先住猫を優先させる
多頭飼いが成功するかしないかは、先住猫にかかっています。
また、多頭飼いで最もストレスがかかるのも先住猫です。
突然の侵入者によって飼い主からの愛情を奪われてしまったと感じれば、嫉妬心から新しい猫を攻撃したり、新しい猫、先住猫共にストレスを感じて体調を崩すこともあり得ます。
常に先住猫を優先することを忘れず、先住猫の不安を取り除いてあげることを忘れず接してあげましょう。